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保険の話「生命保険×医療保険×損害保険」

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こんにちは、smorceです。
この記事では、民間の保険ついて解説していきます(^^)

 

 そもそも保険とはなにか?

保険とは毎月(もしくは一括)で保険料を納めている顧客が、事故や病気・死亡など不測の事態に遭遇したときに、保険会社がお金を給付してくれる仕組みです。(ただし、条件に該当しない場合は給付されません)

言い換えれば、不幸のギャンブルを引き当てた人が得をし、不幸にならなかった人たちが損をする仕組みです。

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事故や病気・死亡などは確率で起こる為、保険はその確率を引くという「不幸ギャンブル」になります。

 

その為、民間の保険に入る前に
・そもそも、どれくらいの確率で遭遇するものなのか?
・仮に遭遇したとして、公的年金ではカバーできないのか?
を検討する必要があります。

公的年金でもカバーできない分は民間の保険で賄う」というのが保険の賢い使い方になります。

 保険の種類

日本人は保険が大好きな国民です。日本人の9割が生命保険に加入していると言われています。


今では数え切れないくらい多くの保険が存在しますが、その中でも主要な保険は以下の3つです。

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この他にも介護保険、学資保険、がん保険個人年金保険、ペット保険など様々なものがありますが一旦割愛します。

 

上の図で△マークがついている保険(生命保険、医療保険)は入っても良い保険になります。◯がついている損害保険は入るべき保険です。

生命保険

・基本的には不要です
・ただし、よっぽど心配なら「掛け捨て」で入るべきです

■(入るなら)生命保険は「掛け捨て(定額保険・定期保険)」で

国民年金の実態は
・老齢年金(長生きリスク)
・遺族年金(死亡リスク)
障害年金(働けなくなるリスク)
のリスクをカバーしてくれる「保険」でした。

POINT!

国民年金については以下の記事で解説しています(^^)

③年金の話:年金の実態と人生100年時代の最適解

既に「遺族年金」という形で "死亡リスク" がカバーされている為、民間の生命保険に加入するのは基本的には不要です。また、生命保険が必要になるケースは稀で、およそのケースでは「子供が自立していない家庭」で必要となります。
一般的には子供が0歳〜20歳の間は大黒柱の生命保険が必要な期間と言えるでしょう。

 

ただし、遺族年金は家庭の状況によって貰える額が異なり、金額的には足りない可能性も考えられます。ですので、このあたりが不安な方は生命保険の加入余地があると考えています。

 

もし生命保険に加入するのであれば「掛け捨てタイプ」のものを推奨します。
月々数千円で手厚い保障が得られるのが「掛け捨てタイプ」のメリットです。

使い方としては、子供が自立していない期間だけ加入していれば良いと思いますので、必要なタイミングで加入し、20年間保障できれば十分かなと思います。

平均的な死亡確率

生命保険は加入者が死亡することで保険金が降りるサービスです。では、そもそも死亡する確率はどれくらいあるのでしょうか。

 

・日本人の30歳の生存率は98.9%です。
・これが40歳になると98.2%に減少します。
・50歳になると96.7%です。

 

掛け捨てタイプのものに加入する場合、30歳〜50歳の間で保障してもらうケースが大半だと思いますが、上記の確率で見ると「98.9%→96.7%」まで減少しています。
つまり、30歳から50歳の間で死亡する平均的な確率は2.2%ということです。

 

民間の生命保険に加入する場合、この2.2%のギャンブルにベットすることになります。数字を見て分かる通り負ける確率の方が圧倒的に高いですが、それでも2.2%のリスクを避けたい人は加入することをおすすめします。
ただ、前述したように遺族年金も貰えますのでそのあたりのことも踏まえて検討すると良いでしょう。

よくある誤解

「住宅ローンを組んでいるから生命保険に加入しないといけない」 と思われる方がいらっしゃいますが、この認識は誤りです。
住宅ローンを組んでる人が亡くなった場合、ローンの残額は免除され、家は家族がそのまま所有できる「団信(団体信用生命保険)」という保険があります。

団信があることから、住宅ローンを組んでいることが生命保険に加入する理由にはなりません。

医療保険

・基本的には不要です
・日本の医療制度は世界でもトップクラスで手厚いサポートがあるからです
・ただし、預貯金で対応できない可能性がある場合は「掛け捨て」で入るべきです 

医療保険に入る前に「高額療養費制度」について知ろう 

会社員は「社会保険」に加入しているおかげで、医療費の自己負担額が1〜3割で済んでいますが、3割負担でも医療費が高額になった場合は重い負担になります。

例えば、医療費として100万円がかかった場合、30万円支払うことになります。こういった高額な治療が必要になった場合に活用するのが「高額療養費制度」です。

 

高額療養費制度とは、1カ月の医療費(自己負担分)が一定の額を超えた場合、超えた分のお金が健康保険から戻ってくる制度です。
自己負担限度額は所得や年齢で変わりますが、目安として月給が50万円以下であれば、医療費は約8万円まで抑えることができます。


上記の例では、一旦30万円を支払ったのち、22万円が返還される、という訳です。結果、本来100万円かかるところが8万円まで圧縮されることになります。

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どれだけ医療費でお金がかかろうと高額療養費制度があるので、自己負担額は約8万円になります。

ただし、これは保険適用される治療のみが対象なので、保険適用外の治療には適用されないので注意が必要です。

自己負担額8万円をさらに圧縮する方法

付加給付を活用すれば自己負担額はさらに圧縮することが可能です。これは会社員に与えられた福利厚生の1つです。

 

会社員の福利厚生には、高額療養費の上限額が2万円に抑えられる「付加給付」があります。所属企業が付加給付のある健康保険組合に加入していればその恩恵が受けられます。

例えば勤め先の企業が「関東ITソフトウェア健康保険組合」に加入しているなら、付加給付により自己負担上限額は2万円となります。

 

仮に1ヵ月の医療費が100万円や1000万円かかった場合でも、2万円の自己負担で済むという訳です。

高額療養費制度の事前申請について

注意しなければいけないことは、高額療養費制度は後払いということです。
先程の例でいうと、一旦30万円を支払う必要があるということになりますので、一時的に貯蓄を切り崩す必要があります。

ですが、もしこの対応が無理な場合は事前に申請することも可能です。

 

予め「限度額認定証」を病院に提出しておくと、自己負担限度額までの支払いで済みます。
急な入院や手術の場合には事前に申請することが難しいかもしれませんが、医療費が高額になりそうだと予想できる時は先に認定証を受け取っておくと便利です。

コーヒーブレイク「日本一高額な治療薬」

厚生労働省は2019年5月に白血病治療薬「キムリア」の公的医療保険の適用を承認しました。これにより、キムリアは自己負担額3割で治療を受けることができます。

キムリアは一部の白血病の治療に極めて有効とされる新薬で、オーダーメード治療薬になります。患者の血液から免疫細胞を抽出しその遺伝子を操作、がん細胞への攻撃力を高めたうえでそれを患者に投与する、という治療薬で、オーダーメードである以上製造コストが物凄く高くなります。

こちらの薬価ですが、3349万3407円となりました。つまり、3割の保険適用がされても自己負担額1000万円を超える高額な治療薬になります。

 

また2019年7月にはキムリアの価格を大幅に超える治療薬「ゾルゲンスマ」も公的医療保険の適用を承認されました。米国では2億円超で提供されているこの治療薬、日本では1億円で提供されることになりました。つまり、保険適用があっても自己負担額は3000万円となります。

 

キムリアの薬価は3300万円ゾルゲンスマは1億円ですが、どちらも保険適用される治療薬になりますので、高額療養費制度および付加給付の対象となり、自己負担額は2万円まで抑えることが可能になります。

 

このように超高額な治療薬であっても一般家庭で賄える自己負担額に抑えることができる、これが日本の医療制度になります。
なので、冒頭でも述べた通り、日本の医療制度は世界でもトップクラスなのです。

医療保険に加入しても良いケース

高額療養費制度という素晴らしい制度がありますが、この制度でカバーできるのはあくまでも治療費のみとなります。

 

例えば、入院すると医療費以外にも様々な費用がかかります。その代表がいわゆる差額ベッド代です。
大部屋ではなく、特別室(個室)に入ることにした場合、1日1万円などの出費は十分考えられます。

このほかにも、パジャマや飲み物などの雑費、家族の交通費などの負担も出てきます。

 

生命保険文化センターによりますと、入院時の1日あたりの自己負担費用は
1日あたり1万9,835円とのことです。

 

平均的な入院日数を考えれば預貯金で十分対応できる範囲だと思いますが、入院が長引くこともありますし、預貯金で対応できない可能性も考えられます。

そのような場合には医療保険の「掛け捨てタイプ」に入るのもアリだと思います。

先進医療が必要になる確率

先進医療を受ける為に医療保険に加入する方も多くいらっしゃいます。
ですがこの先進医療、実際にどれくらいの確率で必要となるのでしょうか。

 

先進医療とは、まだ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術のことを指します。先進医療は保険外診療であるため、高額療養費制度を利用することができません

 

先進医療の金額は3900円~309万円とかなりのばらつきがあり、特に高額なのが、
がん治療である陽子線治療「約276万円」、重粒子線治療約309万円です。

 

一方、現在治療中のがん患者が約152万人で、陽子線治療もしくは重粒子線治療を受ける割合は約500人に1人(0.22%)と非常に低確率です。

 

生命保険の考え方と同じく、民間の先進医療保険に加入する場合、この0.22%のギャンブルにベットすることになります。

ですので、0.22%のリスクを許容できない方は先進医療保険に加入することをおすすめします。

 

また、もし加入する場合は医療保険」に「先進医療特約」を付加する形で加入するのがおすすめです。最近の医療保険には「先進医療特約」が付加されるのが主流で、月額100円程度で加入することができます。

がん保険は不要です!

がん治療は誤解が多いですが、まず受けるべきなのは標準治療です。標準治療というのは人類の英知の結晶で、臨床試験を通して現時点で最も効くと分かった治療方法です。全世界で勧められているがん治療もこの標準治療です。

この標準治療は保険の適用範囲内なので、少ない自己負担額で治療を継続することが可能です。

 

また、20代のがんになる確率は0.1%以下、30代は0.1%です。
つまり、がん保険とはこの0.1%以下の確率に賭けて高額なお金を支払う商品ということになります。

 

がんは保険適用内で治療できることと、発病する確率も低確率であることから、私はがん保険は不要と考えています。 

怪しい健康食品や民間療法に騙されないで!

「がん細胞が自滅する」宣伝・販売か 健康食品販売 社長ら逮捕 | NHKニュース

上記は2019年8月7日にニュースになった記事です。
「がん細胞が自滅する」と謳って健康食品を販売していた社長ら4名が逮捕されました。原価3000円の商品を5万円で販売し、28億円の売上を計上していたそうです。

 

がん治療ではこういった怪しい健康食品民間療法が数多く存在します。

 

ですが、特定の食品を多く摂取することで、がん治療効果が得られるという事実はありません。
また、そういった効果が確認された食品は1つもなく、病院で処方される食品というのも存在しません。

こういった事実を知らずに、怪しい健康食品や民間療法に踊らされるのは賢い選択ではありません。

がん治療は、前述したように、まずは病院に行き標準治療を受けるべきです。

 なぜ保険はこんなにも複雑なのか?

保険は一般的に分かりづらい商品です。

その理由は「保険」としての基本機能に加えて「運用・貯蓄」をセットで販売しているからです。

分かりやすく説明すると、保険の機能に投資信託をプラスしているイメージで、このタイプの保険が分かりづらくしている要因です。

 

本来であれば保険は「不幸のギャンブル」なので、不幸を引き当てた人だけが得をする「掛け捨てタイプの保険」だけで十分でした。

しかし、その「掛け捨て」保険に「運用・貯蓄」を抱き合わせて販売するタイプが登場し、これが「未来にいくらかお金が返ってくる」タイプの保険になります。

この商品が登場したことで一気に保険商品は複雑になりました。

 

ですが、上記のような「運用抱き合わせタイプ」の保険は全て不要です。
なぜなら、保険機能と運用機能はわけた方が手数料的にお得だからです。

 

保険に入る目的は不確実なリスクに対する保障なので、本来の機能だけを活用できれば十分です。

 入ってはいけない保険の具体例

上記の通り、「未来にいくらかお金が返ってくる」タイプの保険は全て不要です。運用タイプのものが欲しければ、そのお金をつみたてNISAやiDeCoに回して、楽天VTIを運用していれば十分です。

例えば、運用タイプの保険には「個人年金保険」があります。
以下のような商品ですね。

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※参考画像

 

個人年金保険については別の記事で解説しましたので、そちらをご覧ください(^^)

 損害保険

損害保険は加入することをおすすめします。これは高い確率で誰でも起こり得ることだからです。

 

まず最初に加入するべき保険は「個人賠償責任保険」です。これは事故を起こしたときに保障してくれる保険になります。

 

過去の判例ですが、自転車運転中に事故を起こし1億円近い損害賠償を認められたケースがあります。
自転車事故は誰にでも起こり得ることだと思いますが、その他にも

・水漏れにより、階下の他人の部屋を水浸しにしてしまう
・ゴルフプレーに他人に怪我をさせた
スノーボードで滑走中、他人と接触し怪我をさせた
・ベランダから花びんが落ちてしまい、他人の車にキズをつけた 

など日常的に起こり得るこれらの事故をカバーしてくれる保険が、個人賠償責任保険です。

個人賠償責任保険の特徴

・上記の通り広範囲の事故をカバー
・補償の範囲は自分だけでなく、配偶者や生計を共にする同居の親族、
 生計を共にする別居の未婚の子までが補償の範囲
・月額140円程度で1億円(最大3億円)の保障と高コスパ
・火災保険や自動車保険などの特約で付いていることが多い
 他にはクレジットカードの特約でも(例:JCB トッピング保険)
・示談交渉サービスがついているものもあり
 

また、分譲マンションを購入された方は管理組合を通じて加入している可能性があるので確認されることをおすすめします。

保険の補償額ですが過去の判例から1億円近い損害賠償を請求されているので、余裕をもって2億円の保障で契約されることをおすすめします。2億円でも月額150〜160円ほどで契約できます。 

その他に加入するべき損害保険

・車の対人・対物無制限保険
→個人賠償責任保険は自転車事故をカバーしてくれますが、
 自動車事故はカバーされていませんので別途加入する必要があります


・住宅購入時の火災保険

 

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