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財政出動ってなに?

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こんにちは、smorceです。

債券バブルへの警鐘が鳴らされ、債券への資金は流入し続けています。

 

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米長期国債ETFTLT)の価格も右肩上がりで上昇し続けています。

 

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一方で米国長期金利は低下の一途を辿り、9月のFOMCでも利下げされる可能性が出てきています。

 

現在の債券市場ですが、 

◯世界的な緩和策の影響で、貸し手が金利を負担するマイナス利回りの債券が倍増
世界で残高13兆ドルと過去最高に積み上がっている(債券バブルのリスク

◯欧州の高格付け債の国債利回りより日本国債の利回りのほうが既に高い、という異常事態

となっています。

 

先進衰退国である日本が、異次元的な金融緩和を実施したにも関わらず、日本国債の方が利回りが高いという異常事態で、マイナス金利を導入している日銀も欧州中央銀行も出口戦略が見えないまま、米国の長期金利が一方的に下がり続けています。

FRBは「予防的な利下げ」と言っていますが、今残っている実弾にも限りがあるわけですから、どのタイミングで使っていくが重要になります。

 

米国の金利まで喪失したら伝統的金融緩和はもう打てないわけですから、その先は人類が経験したことのない未知の領域になります。

 

さて、簡単にマーケットの概況について触れましたが、簡単にまとめると、債券市場では金利が低下し、マイナス利回りの債券も倍増、資金が流入し続けている、という状態です。

この状況に対処する為には、もはや金融緩和だけではなく、財政と強調して政策パッケージを検討しないと効果も薄いのではないでしょうか。

財政出動とは

上記で触れましたが、金融緩和だけでなく、財政側も協力して対処する必要がありそうです。

財政側ができることは主に財政出動ですが、よくよく考えてみると、財政出動の仕組みについて私自身がよく理解していませんでした(~_~;)

 

そこで、今回の記事では財政出動の仕組みについて簡単にまとめてみたいと思います。

 

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財政出動の目的は景気を刺激すること

・国民が預けた預金は銀行にとっての借金。銀行は上手く運用して利ざやを稼ぐ必要がある

・国が発行する借用書が国債。国は国債を発行することで足りない資金を調達する

国債は銀行が買い上げ、銀行は国債を運用することで利ざやを稼ぐ

国債で調達した資金は、社会保障や公共事業の運営に当てられる。社会を支え、経済成長を促す

 

「借金=悪」と思われがちですが、国債が発行され、国の借金が増えることで、結果的に経済成長が促される仕組みになっています。経済が成長することで税収が増えることにも繋がります。

 

ですが、今の日本は緊縮財政政策をとっている為、国債の発行量を減らす政策を実施しています。その為、資金調達が思うようにいかないという弊害もあり、また経済成長が低い為に税収が増えていきません。

お金を発行するタイミング

お金の発行ができるのは日銀だけです。ですが、このお金はどのタイミングで発行されるのでしょうか。

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・銀行が買い上げた国債をさらに日銀が買い上げます。これを買いオペと呼びます

・銀行は国債を日銀に売却すると、銀行の日銀当座預金口座が増加します。「日銀当座預金口座」は金融機関や政府が開設している日銀の口座です

・銀行は融資することが可能です。融資額は「銀行の日銀当座預金口座」を担保にレバレッジをかけて貸し出すことが可能です。これを信用創造と呼びます

・銀行が日銀当座預金口座からお金を引き出したときにお金が発行されます

 

 

信用創造により、より多くのお金を経済に回して景気を刺激したいと考えていた日銀ですが、問題が発生しました。それは銀行が日銀の買いオペに応じないことです。

買いオペは強制ではなく任意なので、銀行が応じなければ、国債を買取ることができません。また、銀行としては国債保有するだけで金利が付き、収益を上げることができるわけですから、手放す理由がありません。

そこで日銀が行ったのが「マイナス金利」の導入です。利回りがマイナスになるわけなので、国債保有しているだけで金利分の支払いが発生し、保有するだけでドンドン損失が膨らみます。なので、銀行は手放す必要が出てきました。

銀行に国債を放出させる為にマイナス金利を導入した、という訳ですね。

※ちなみに、国が直接日銀に国債を売りつけることはできません。それが原因で過去にインフレを起こさせてしまった失敗があるからです。 

 

ですが、マイナス金利を導入しても景気が良くならない…。そこで日銀がとった方法は、 量的金融緩和という非伝統的手段です。 既に金利は限界まで下げているので、伝統的な金融緩和の手段は取れません。
つまり、金利ではなく、マネーの総量をコントロールすることで景気を刺激しようと考えました。これが、異次元の金融緩和です。

国債の買い入れの拡大やETFの買い入れがそれに当たります。国債を買い入れれば金利が低下し、ETFを買い入れれば、ETFの価格も上がり投資家は安心して資金を供給できます。低い金利ETFの価格の上昇により市場に資金が流れていきます。

財政出動の具体的な流れ

財政出動の仕組みを簡単に図にすると、前述の通りですが、具体的な流れは下記の通りです。

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①→②→③→④→⑤→⑥→⑦→①→②→・・・とループしていきます。

このお金の流れは全て円建てで行われており、国内で完結しています。お金の総量に変化はなく、ただ、お金が循環しているだけに過ぎません。

 

日本政府の借金は1000兆円を超えると言われていますが、9割以上が国債であり、円建ての借金になります。対外債務も多くは円建てであり、借金が問題ないと言われている理由はこの円建てというのがポイントですね。

つまり、お金を刷れば借金を返済できると考えてられています。

 

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